日吉津の家

日吉津の家

3世代6人家族の家を建て替えしました。 以前は母屋、蚕小屋、倉庫が敷地いっぱいに建てられており、配置やプランの影響で、居間は北向き、寝室も屋根裏にスペースを増設するなど、全体的な改善策が必要な状態でした。 母屋を曳家などし、改装することも検討しましたが、家族の要望や建て替えとのコストバランスも鑑み、建て替えを行なうことになりました。 家という言葉は、家屋という建物のことを意味するのと同時に、家族や親族のことも意味する言葉です。 代々の仏壇がある家を設計することが初めてだったということもあり、そのことにもより強く意識が傾きました。 少なくとも自分がつくる住宅は、住い手の内面的な心の風景を作り出す場であるよう考えてつくりたいし、その心の風景は家族に共有できるモノであって欲しい。 建て替えにより風景が変わること、記憶のことにも考えを巡らせました。 平面をコンパクトにすること、屋根勾配なりの気積を絞ることで、家族の距離感が遠くならないように。 同時に、軒を低く伸ばす大きな切妻屋根、木質の内外装とすることで、新たに建て替えた住宅でありながら、以前からこの場所にあったかのような落ち着いた佇まいとなるよう配慮しました。 抽象的な意味でも具象的な意味でも、風景を後退させない家として設計した住宅です。

所在地   :鳥取県西伯郡
主要用途  :住宅
工事種別  :改築
構造/規模 :木造/2階建て
床面積   :162.31㎡
設計期間  :2014年3月~2016年12月
竣工    :2017年8月

architecturephoto.net” の特集記事に掲載されました。
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